HOME > 特集 > Vol.11:日本の贈答文化気持ちを伝える「御祝」の作法

多くの人は結婚のお祝いを、ホテルの披露宴会場に設けられた受付けで渡すものだと勘違いしているのではないだろうか。
本来、結婚祝いとは、結婚式当日ではなく、事前に本人に祝いの言葉と共に手渡し、気持ちや真心を直接伝えるものである。
披露宴会場に設けられる受付は、もともとは遠方のお客様のためにホテルの会場の片隅に便宜上設けられたものだった。しかし、いつしか当たり前のように挙式会場に持参するようになってしまった。
葬儀の場合は、突然であるという理由で帳場を設けて近所の方や知人が受付けをし、助け合うシステムが出来上がっている。それと同じだと勘違いしてしまった結果ではないだろうか。
披露宴会場の受付に立つ“新郎新婦の友人”に会費のごとく渡すのはおかしな傾向だ。本人に直接「ご結婚おめでとう」と言葉をかけて渡すべきである。今のようなスタイルだから、祝う側も披露宴の会費のような感覚となってしまい、祝う気持ちを表現できなくなってしまっているのだ。
「昔は品物を贈っていたが、それが時代の流れでお金に代わったのであり、「御祝」はお金だけれど、そこに込められた気持ちが大事なのだ。決して披露宴の会費ではない。
忙しい現在のライフスタイルの中で、相手への思いやりを込めて贈答する日本人独特の美しい文化を大事にする余裕がなくなり、人間関係が希薄になってきているのかもしれない」と、福原結納店の福原康方さんは言う。
熨斗袋の「奉書(ほうしょ)」と呼ばれる和紙や熨斗(のし)、水引きは「相手を大事に思う気持ち」を形にした日本人独特の文化だ。
水引きは、関西では「淡路(あわじ)結び」が基本で、それをベースに鶴や亀、松竹梅、宝舟などで相手への思いを表現している。
書物に書かれている「結びきり」は関東では見かけるが、関西では「淡路結び」が基本だ。
熨斗袋には墨で直接で書くために、奉書は白、または薄い色の紙が使われる。昔は「書」をたしなみ、気持ちの表現方法として重要視された。現在では短冊の付いた熨斗袋もあるが、これは和紙ではなく洋紙で作られた熨斗袋に墨がのらないため後から付け足されたもので、本来は熨斗袋に直接墨で書くものである。実際、短冊の糊が剥がれた場合、誰からのお祝いかわからなくなってしまうのも大きな理由である。
生涯一度の二人の門出のお祝いの気持ちを込めたものだから、贈る側も贈られる側も嬉しくなるような華やかな水引き飾りの熨斗袋を選ぶことをお勧めする。
2~3万のお祝いだから小さめの袋を・・・と謙虚に選びがちだが、熨斗袋は相手へのお祝いの気持ちを表わしているのだから、華やかなもので気持ちを伝えたい。
西洋のラッピングのように「物」を飾るのとは違い“気持ちを精一杯現す”ためのものだと言うことを知ってほしい。
ハッピー宝舟 1,050円(税別)
「宝船」は二人の喜ばしい門出を意味する。
都22 850円(税別)
「亀」の寿命は万年といわれ、急がず休まず、幸せを築き続けるようにという願いが込められている。
羽衣松鶴 2,000円(税別)
「鶴」は千年という長寿の象徴であり、また、一度夫婦になると、たとえ一羽が死んでも一生他の鶴とは添わないと言われる愛情のシンボル。
※短冊付きのものもあるが、本来は、
熨斗袋に直接墨で書く。
淡路結び
結び松竹梅 1,500円(税別)
「竹」は真っ直ぐに伸びる性質から、質実剛健・節度・潔白の意味を持つ。
吉祥松 1,050円(税別)
「梅」には春に先駆け花が咲き実を結ぶことから、忍耐の象徴とされている。また、古来より桜とともに美しさをたたえられてきた花でもある。
万葉白 1,500円(税別)
「松」の葉は一年中緑であることから、長寿と変わらぬ永遠の若々しさを象徴。
お祝いを渡す時の美しい作法や道具も相手を大切に思う気持ちの表現である。
広蓋(ひろぶた)の上に熨斗袋で包んだ「御祝」をのせ、袱紗(ふくさ)をかけ、それを風呂敷に包んで届ける。
このように広蓋や袱紗や風呂敷などの道具を使って、大事に包んで持っていくことで、相手を大事に思っていてることを形で表現しているのだ。
このような道具は、普段使う機会も少ないが「結婚」という節目で必ず必要となるものである。一生使えるものであり、気持ちを表現するための道具だから、ある程度の年齢になったら揃えておきたい。
昨今、日本人独特のしきたりへの関心が高まりつつあるのは、人と人とのつながりが見直されてきているからかもしれない。


人生の大事な節目である結婚において、日本人の贈答文化を見つめ直す機会は多い。
結納や熨斗袋に込められた、ひとつひとつの意味や由来を知ることで、お互いを尊重し相手を大事に思う気持ちを表現するための古き良き文化を受け継いでいきたいと思えるのではないだろうか。
取材協力 / 株式会社 福原結納店
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